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『know』野﨑まど

 

know

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おすすめ度: ★★★(3つ星が最高点)

 2081年、超情報化社会と化した日本では、超情報化対策として、人造の脳葉<電子葉>の移植が義務付けられ、情報量によって社会的地位が決定されていた。情報の階級=人間の階級であり、一般人はクラス2、情報庁の職員はクラス5、大臣はクラス6と格付けされていた。

 

 情報庁に勤務する高級官僚・御野・連レルは、恩師であり12年前に行方不明となった研究者、道終・常イチが残した暗号を偶然発見し、彼の捜索を始める。道終は京都・嵐山で、親のいない子供たちのためにひっそりと養護施設を経営していた。

 道終はひとりの少女を御野に託すと、御野の目前で自殺を図る。道終・知ルという名の14歳の少女は、電子葉とは桁違いな情報能力を持つ<量子葉>を初めて移植されたクラス9の超人だった。

 彼女からの頼みは、4日間だけ自分の身を保護してほしいということだった。「4日後にはすべてがわかるから」と謎の言葉をささやいて。量子葉の機密を入手したいがため、躍起になって少女の奪還を謀ろうとするIT企業アルコーン社と2人の逃走劇が始まる。それは人類最大の謎に挑む知の冒険の始まりでもあった。

映画『マトリックス』ばりの電脳アクション・シーンの数々。

そして、人類最大の謎とは何か。その謎に対する解答は解かれるのか?

 

 読み終えると、タイトル『know』に込められた深遠な意味が何もかも氷解する。

神話、哲学、宗教のすべてを丸呑みし、エンターテイメントとして昇華した、2000年代を代表する超ど級のSF小説