『ロックで生活する方法』 忌野清志郎
おすすめ度: ★ (3つ星が最高点)
日本の偉大なるロックバンドであるRCサクセションの忌野清志郎のインタビュー集。
編集者によるあとがきによると、本書の元となった隔月刊誌の原稿は、インタビューアーと清志郎による対談として掲載されていた。しかし、「より直接的なメッセージとして清志郎の言葉を届けたい」との方針転換から、清志郎の独白としてインタビューを編集し直したのが本書。この試みは見事に成功し、まるで清志郎が喫茶店でくつろぎながら読者に語りかけているような臨場感がある。
高校時代に仲間とバンドを結成、そしてレコード・デビュー時のエピソードから始まり、時系列順に語られていく。「ぼくの好きな先生」などがヒットしたことによって、一躍脚光を浴び、日本のロック史に残る偉大なバンドとして確固たる地位を築き上げる。ところが、メンバーとの擦れ違いからRCサクセションを解散し、新たなバンドを新生し、音楽活動を続けていく。
本書を読んでびっくりしたことがある。RCサクセションというと、清志郎のワンマン・バンドというイメージが一般的だ。でも、清志郎はそうじゃないという。自分はあくまでバンドマンの一員にすぎないと。実際、音楽活動による収入はバンド内で平等に分けあっていたという。
レコード会社やファンに左右されることなく、ミュージシャンとして、表現者として、自分の表現したいことを誠実にやり抜いた清志郎の生きざまには脱帽する。