『働くおっぱい』 紗倉まな
おすすめ度: ★ (3つ星が最高点)
著者は高専在学中にデビューした人気AV女優。これまでにもエッセイや小説を発表している。
『働くおっぱい』というタイトル通り、AV女優という特殊な職業にまつわる日常生活が赤裸々に、かつ等身大で語られている。AV女優として生きていくことは、苦悩や理不尽な出来事の連続だった。
たとえば、
・職業記入欄にAV女優と記入したら、アパート物件が借りられなかった。
・プライベートではささやかな声しかで出さないのに、「マグロ状態」とレビューで酷評され、ウケる喘ぎ声を夜な夜な練習した。
・新郎を寝取ってしまうウエディングプランナーに扮した作品が彼女の最大のヒット作になった。一所懸命に演じた作品が売れてくれたことは嬉しいものの、私生活でこんな事態になったら「絶対許さない」と、作品とリアルな自分とのジレンマに重い悩む。
こうした世間の不条理さと戦いながらも、デビューして7年目になりいつまでAV女優として続けていくことができるんだろう、と将来への不安が率直に語られていたりもする。
特殊な職業に就きながらも普通感覚を失わない働く女性のエッセイ集。