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『探偵の現場』 岡田真弓

 

探偵の現場 (角川新書)

探偵の現場 (角川新書)

  • 作者:岡田 真弓
  • 発売日: 2020/02/08
  • メディア: 新書
 

 

おすすめ度: ★  (3つ星が最高点)

 

 著者は女性にして総合探偵社を設立し、社長を務めている。ラジオ番組「岡田真弓の未来相談室」でのパーソナリティを始め、様々なメディアに出演している。

 

 この探偵社がユニークなのは、探偵学校を併設していること。初級から独立開業コースまで3つのコースがあり、修了者の2割が探偵業を営んでいるという。

 もうひとつユニークな点は、業界でいち早くカウンセラー制度を導入し、従来の探偵社のように調査をしたらおしまいではなく、依頼者の心のケアもサポートしていること。こうしたきめ細かいアフターケアは女性ならではの心遣いだろう。実際に当社がかかわった事案では、浮気の事実発覚後も7割は離婚せずに夫婦関係を継続しているという。

 

 探偵社への依頼の7割は浮気調査で、当社がかかわった浮気調査の顛末が豊富に紹介されている。紹介されている事案は、どれも「事実は小説よりも奇なり」で、業務に慣れている探偵でさえ茫然としてしまうケースも少なくない。なかでも警官の妻からの浮気調査は、ひとつ間違えば夫である警官から逮捕されてしまうリスクも背負うので、探偵も楽じゃない。

 

当社の浮気調査によると、

・不倫相手の半分以上は、同じ会社の上司や同僚。

・愛人は妻より容姿が劣っている女性が多い。その理由は容姿が劣っている女性の方が、異性と巡り会うケースが少ないせいか、男性に尽くすタイプが多いそうだ。

・浮気する年齢は40代がもっとも多く、全体の38%を占める。

 

また、社会の変化に合わせて、浮気の実態もここ数十年で大きく変動しているのが興味深い。

・かつて依頼者は妻が9割を占め、夫は1割にすぎなかったが、今では依頼者の4割が夫である。

・60歳をすぎた依頼人の急増。

 

 「マンションで張り込みをしていたら、管理人から質問を受けた。どうしたらよいか?」といった、探偵の尾行や聞き取り調査の実践テクニックが惜しげもなく紹介されている。

 また、探偵の7つ道具として、以前はビデオや録音機といった、かさばる機器を持ち歩いていたが、現在ではほとんどはスマホで用が足りてしまうそうで、探偵必須のアプリも明記されている。

 

 探偵が浮気の有無を判断する材料として、「不倫・浮気チェック法」が具体的に紹介されている。一例として、「知らない香水やタバコの香りがする」「下着が変わった」など。浮気をしている人も、されている人も大いに参考にしてよいのでは?